Night step



修羅の沙汰 短いタテガミ揺らし
不器用な手つきで数えるシロツメクサ
交わる事の無い幹をなぞり
詩を唄う 泣き声に似た か細い声で


現と幻の狭間で蠢く蛹のような衣に身を包んで
目覚めることを恐れてるの
迫る光の流星に糸を吐く


ひらひらと翻す 掻き鳴らす 音の無い手拍子で
焔に妖しく腕を伸ばす 白い花弁に唇寄せて
甘美な言葉に突き立てる 迷いの無い真理のように
可憐な琥珀に染められた 美しくなれない世界へ 羽ばたく



四尾の狐 笑い方を忘れて
紅蓮の牙を隠せずに目を塞ぐ
円環の摂理は其の力さえ刃も立てられず
詩を唄う 喉を震わせて かすれた声で


表と裏の境界を繋ぐナイフのエッジ 踏むステップ
転げ落ちるのなんか怖くないの
廻る白夜の宙に遠吠える


ゆらゆらと試し合う 差し出す 引き止めて押し返す
艶を零す藍の傘 茜に煌めくアンクレット
審美な情動に突き付ける 目に見える答えの逸話を
どうしようもなく紛えない 不完全な世界へ 羽ばたく



振り乱した髪を伝う風
夜明けの星が薄まっていく
飛べない鳥が鳴く世界へ

羽ばたく
羽ばたく

羽ばたいてみせるの